第9回ハロプロ楽曲大賞2010 楽曲部門/PV部門/推しメン部門

アイドル楽曲部門ではももクロに3票投じるという非常に偏った結果に。メインのハロプロ部門も非常に悩ましかったが結果的に各グループバランスの取れたランクインになった。

楽曲部門

1位 スマイレージ 夢見る15歳 3pt


メジャーデビュー曲。今年一番多く聴いた。発表当初、ネット上の反応を見るとそこまで評価は高くなかったことをよく覚えている。あまのじゃく・明日デーのかつてのタンポポを彷彿とさせるミディアムテンポの良曲2連発から、最強曲のスキちゃん・オトナになるって難しい!!!というライブ向きの2曲を並べ、さぁメジャー勝負!に持ってきたのはつんくボーイお得意の中学生少女心理描写&マイナー調メロディ。
つんく調は辛気臭い!」の声は、しかしライブを重ねるうちに消えて行った。
夏祭りに花火、海にバーベキュー、流れ星。だがしかしそれは全て想像の中。寂しいよ、寂しいよ。ひとりきりでイヤフォンで音楽を聞く少女。そんなつんくの一見チープな歌詞に託された幻想の少女を背負うスマイレージに、ヲタは「イヤフォンで!」の大合唱で自らの思いを仮託する。少女幻想がちらりと具現化する、そんな瞬間。平田祥一郎サウンド全肯定!

2位 Buono! -winter story- 2.5pt

We are Buono!(初回限定盤)(DVD付)

We are Buono!(初回限定盤)(DVD付)

曲名の通り、明確な冬曲。アイドル楽曲に冬の歌ってあんまり無い気がする。夏曲は死ぬほどあるけど。
Buono!にしては抑えめのメロディ&テンポだが、ベルの音に乗せて重なりあう3人の声が心に響く。「多幸感の先にあるほろ悲しさ」というハロ曲の真骨頂が見事に出ている名曲。2年越しでダイスキだよのキモチ。2年越しのアリガトウ ヨロシク。あぁせつない。
それにしても何故winterフェスタはDVD化されないのでしょうか。今はなき東京厚生年金会館、アンコール明けで雪が降る中この曲を歌い上げる3人の姿が今でもありありと思い起こせます。

3位 あぁ! 夢と現実 2.5pt


今回のシャッフルユニットの楽曲はどれも出来が素晴らしかったが、1曲選ぶならこれ。れいなが抜けた新生あぁ!、代わりに入ったのは佐保ちゃん。スマイレージにはない、大人びた魅力と実力を見せつけてやる!と言わんばかりの大活躍。歌・踊り共にポテンシャルの高い雅と愛理にしっかりと食らいついている。雅と愛理の声質がやや似ている分、佐保ちゃんのハスキーボイスが光る名曲。執拗に挿入される「やっふー!」「だっ!うっ!」という謎の声が超ダサかっこいい!
「あの子の描く夢 なんかうらやましい 負けちゃいられない いられない」「何回でもいい再チャレンジ そう そこから始まるサクセスストーリー」
どうみても佐保ちゃんの歌です。本当にありがとうございました。

4位 Berryz工房須藤茉麻熊井友理奈)1pt

 
懐かしのピコピコテクノサウンドに乗せて流れてくる熊井ちゃんの声。初めて聴いた瞬間爆笑した。そして繰り返し聴くうち、どんどんハマっていった。強めに加工されている彼女たちの声がどうしてここまで生々しいのか。バックミュージックが極めて人工的な分、熊井友理奈須藤茉麻という身体性/キャラクター要素が非常に浮き立ってくる。思い立ったら 吉でっせ!に並ぶ最強のキャラソン
ぼんやり聴いていると文脈を無視した個々のフレーズが面白すぎてどうしていいかわからない。「(歌詞)グランドでも廊下でも目立つ君」→アンタがデカイからや!180cm以上だからや! 「やめて!」→そっちこそやめて腹筋やばい 「筋肉感じた」まぁさ+筋肉=腹筋崩壊

5位 ℃-ute Danceでバコーン! 1pt


ライブで聞くまでこの曲の良さがあまりわからなかったので楽曲大賞に入れるのはどうかと思ったけれど、一度あの身体全体に襲いかかってくる強烈なバコーン!パワーを体感してしまうと家で聞いてても勝手に体が動き出す始末。入れるしか無い。
メンバー減などの危機を乗り換え今年一番輝いた感のある2010年の℃-uteを代表する一曲。なかでも岡井千聖はustや踊ってみた動画のヒットに見るように絶好調。愛理1top大コケのSHOCK!の反省を踏まえ、愛理・舞美に頼ることなく後列3人が輝いたことが何より素晴らしい。帰りにうどん食べる毎日。

PV部門

1位 真野恵里菜 元気者でいこう!(ディレクターズカット Ver.1) 3p


この曲については以前書いたエントリからコメント抜粋。
http://d.hatena.ne.jp/nhokuto/20100924/1285321217

(前略)
そんな真野恵里菜が歌う、「元気者で行こう!」である。PV撮影に堤幸彦監督を起用するなど、攻めの姿勢がうかがえる。しかし、なぜ「元気者で行こう!」なのだろうか。真野ちゃんに上述のようなイメージを持つ自分にとっては、この歌によって真野ちゃんに元気を貰うのではなく、こんな空元気な歌を歌わされてせめて俺たちが元気にならなかったらたぶん真野ちゃんおかしくなっちゃいそうだし可哀想だからしょうがない元気になってあげよう、それより真野ちゃんが元気出してね、という曲であるように感じてしまうのだ。

ダンス部分でこそエッグメンバー4人を従えて元気いっぱいに踊る真野ちゃんであるが、映像部分では、真野ちゃん=「元気者」ではない。赤タイツに身を包んだ情けない顔のオヤジがなぜか「元気者」を象徴するキャラクターであり、それを真野ちゃんがムチでばしばし殴りながら間接的に疲れたサラリーマン=我々を殴ることで闘魂を与え、我々は元気者になる。しかしよく見てみると、真野ちゃん&元気者はサラリーマン=現実世界の我々が怪しげな「元気者ドリンク」を飲むことで出現している。そう、単にこれ怪しいオクスリによる幻覚でしかないのだ。なんて悲しい。。しかも現実世界の我々は、幻想の中で真野ちゃんに闘魂を入れてもらうことすらできない。なぜか「元気者」=幻想内の自分に頬を叩かれるのである。元気は自分で出すしかない、私は幻想内の元気者=あんたに鞭を叩くしかできないのよ!というSっ気満々の真野ちゃんの声が聞こえてくる。そう、真野ちゃんの半公式裏設定*1としての「説教キャラ」に通ずるナイスキャラクターである。堤監督、やりおる。

さて、Sっ気満々の真野ちゃんに(望み通り)突き放されてしまった我々であるが、じゃあ真野ちゃんはどうするのか。空元気で、半公式Sキャラを演じきった後、「本当は」(笑)傷つきやすくてさみしがりやで情緒不安定な真野ちゃんはどうなってしまうのか。我々のストレスを吹き飛ばしてくれたのはいいが、アイドル界という特殊な世界に生きる真野ちゃんが一番わかっているであろう、世の中の不条理や「タテマエ」まで一緒に吹き飛ばしてしまったら、丸裸の真野ちゃんはどうなってしまうのだろうか!?
(後略)

2位 スマイレージ オトナになるって難しい!!! 2.5p


メンバーの姿を切り張り編集した遊び心のきいた可愛らしいPV。今年唯一シングルVを買った。とにかく見れば幸せな気分に・・・問答無用の可愛さ。
あ、にょんさん髪長い・・・

(3位は該当曲なし)

推しメン部門

ハロプロエッグ 平野智美

「推しメン」とは一体なんなのか。特に今年後半はそんなことをずっと考えていたような気がする。
推し。好きとも微妙に違う。自分の気持を素直に表すというよりむしろ周りに公言すること・シグナルすること自体に重きが置かれているように思われるこの用語。
半年前なら何も考えず嗣永桃子と書いて終わりだったかもしれない。ライブも行くしラジオも聴いているし写真集も買った。
だが、それ以上に、今は平野智美という存在に囚われ続けている。露出が非常に限られているため、唯一定期的に開催されるハロプロエッグの新人公演がなにより楽しみだった。数々のエントリだけでは飽きたらず、同人誌も平野智美について書いてしまった。
おそらく「推し」と呼べるのは嗣永桃子嬢のほうがふさわしいと思うけれど、今回はあえて平野智美を「推し」として投票することにします。


まとめ

楽曲大賞というのは非常に面白いイベントで、「楽曲」にスポットライトを当てているにもかかわらず、その捉え方は様々だ。
例えば好きなグループの曲で5曲固める人も多いし、現場に足を運ぶ人と運ばない人では決定的に「曲」の捉え方が違う。
個人的には現場での印象よりも家で曲だけを聴いているときの印象の強さで順位を決めるようにしているが、winter storyやDanceでバコーン!などは明らかに現場に行かなかったら好きにはならなかった曲だ。
「曲がいい→現場で盛り上がる」という因果は大体当てはまるが、「現場で盛り上げる→曲がいい」が当てはまるかというと必ずしもそうではないのが面白い。例えばスマイレージの「スキちゃん」と「夢見る15歳」。現場で盛り上がるのは前者だが、曲としては後者の方が好きである。
現場で感じた素晴らしさと家で曲だけ聴いた時の素晴らしさが相乗効果で高まっていくような曲が、自分にとって「名曲」なのかなと思ったりもした。何より結果がたのしみである。来年もハロプロ曲を楽しめますように!