アイドルユニットサマーフェスティバル2010

アイドルユニットサマーフェスティバル2010に両日行ってきた。1日目は1階17列・2日目は2階20列。

出演ユニットはSEK48・スマイレージももいろクローバーbump.yの4つ。もはや食傷気味の単語「アイドル戦国時代」がそれなりにちゃんと同じステージ上で実現した、素晴らしい機会だった。

・全体の印象
声援の様子から最も印象が大きかったのはSKE。次点でスマイレージももクロは1階だとスマイレージ並みに盛り上がっていたが、2階のややライトな層への認知度が驚くほど低く、曲を知っているのはおそらく2割くらいではないかという印象。意外だった。bump.yはなぜこの面子の中に居るのかわからないが(8月25日発売の1stシングルの宣伝?)、「演劇・歌唱グループ」と名乗るだけあって一組だけ毛色が異なりそれはそれでアリかな、という感じだった。

1日目はももクロbump.y→SKE→スマイレージという順番。トリはSKEかなと予想していたが、1日目はスマが大役を見事にこなした。特にラストの夢見る15歳スキちゃんで会場はこの日一番の盛り上がりを見せた。ももクロは「核弾頭」と形容するのがぴったりで、勢い爆発、MUSIC JAPANでも見せたようにすっかり場を暖める1番手としての位置を掴んでいた。bump.yはどうやっても2番目に持ってくるしか無い。SKE・スマの前に一休みといったところ。特に2階席では完全に着席して携帯をいじりだすような人も見られたが、個人的には気分よく聴いていられた。誤算はSKE。MCが間延びしていて、開始のovertuneやMIXだけは盛り上がるのだが、その他がいまいち。特にDear my teacherを持ってきた時は心なしかどよめき(悪い意味で)さえ聞こえた。


2日目はももクロbump.y→SKE→スマイレージももクロとSKEはセットリストを変えてきた。気合充分だ。しかしココ☆ナツを外したのは何故・・・?スマイレージは昨日と変わらず盛況。今日はトリで昨日の不完全燃焼分を取り返したいSKE、さすがに2日目のほうが良かった。ラストの強き者よは力強さがあり「らしさ」が見れてよかった。


この2日間でなにより興味深かったのは、MC等で見れた各ユニットの目指す方向・現在の立ち位置の自覚。この点で4グループそれぞれが全く異なっているのは今後の「アイドル戦国時代」をサヴァイブする上でも重要な見所であろう。

・SKE
既存のアイドルファンだけでなく、AKB流れの若年層のファンに支えられるSKE。4グループの中で、会場内で最も多いファンを抱えていた。そのファンが一斉に打つMIXは会場に重く響き渡り、確かに快感を覚える。しかし逆にいうとMIX以外の盛り上がりどころがあまり掴めず、曲は知っていてもいまいち乗り切れなさを感じてしまったのはちょっと意外だった。MIXに頼りすぎているのかもしれない。なにせほぼ全ての曲にMIXが入るので、なんとなく代わり映えがしないのだ。SKEはダンスが売りだと聞いていて、確かに皆上手いのだが人数が多い分どこを見ていいのかわからなかった*1
良かったのは1日目のピノキオ軍。遊びのきいた曲調・歌詞。豊富な人数によって横・縦を十分に利用して広がるメンバーが「いざ進め!」の合図でやや屈みながら横に行進、そしてその中央で、パートを持つメンバーがかわるがわるワンフレーズごとに目立ち、歌う。人気メンバーにパートが固まるというわけでもなく、バラエティに富んでいてよかったと思う。
2日目ラストの強き者よも、1stシングルということもあり自信があるのか、ステージからものすごいパワーを感じた。しかしこの曲はMIXの入り方が少々特殊?なのか、肝心の観客の盛り上がりがいまいちだった。とてももったいなさを感じた。また、純粋に「曲」の盛り上がりで評価すると1番だったのが持ち歌ではない大声ダイヤモンドだったのも皮肉である。
大声ダイヤモンドの盛り上がりからもわかるように、まだまだAKBに頼る部分の大きいSKE。しかし、彼女たち自身からはそのような甘えは一切見えなかった。MCではもちろんAKBという単語は一言も発さないし(当たり前)、東京渋谷の会場でひたすら「名古屋」に絡めたトークでアピール。また、両日とも長い時間をかけて全員の自己紹介をやり切る強さ!!他のグループのファンに全く媚びること無く、「付いてきて当然」と言わんばかりの自己紹介のやりとり、長いMCをこなす姿は、「オリコン売上(≒握手人気)で示される、この会場内での現・王者」の自信を感じさせた*2


スマイレージ
さてそんなSKEとは対照的に、噛み付きまくりなのがスマイレージ。記者会見でも福田花音が「少女時代がライバル」とドヤ顔で言ってのけたように、「スマイレージ以外のファンの皆さん」に言及しまくり!そのアピール精神・気合・戦闘力は1日目では完全にSKEを食っていた。セットリストこそ変更しなかったが、コミカルな「がんばらなくてもええねんで」から入り、「乙女パスタに感動」「ちょこっとLOVE」という先輩の力を借りて場を暖め、最後は自前の「夢見る15歳」「スキちゃん」で会場全体を掴むという流れは非常に分かりやすかった。1日目終了後の帰り道に隣を歩いていたSKEファンと思われる若者2人組も「スマイレージ全然わかんなかった。特に最初。でも最後の2曲はよかった」と評価していた。両日共に最後のMCでは着席している他グループのファンに「立って立って!!」と煽る姿は若干やりすぎ感もあったが、あそこまで開き直っていれば許すしかあるまい。2日目にも関係者席に先輩の道重さゆみが来ていることをバラしておきながら、観客がみな振り返って2階席のさゆにがっつく*3と今度は「こっち見て!!!」と怒る姿はもう「可愛い」の一言で許すしかなかろう。
また1日目では1曲目でいきなりパートを飛ばすという生歌アピール?(笑)。プロレス的にも見せ場をつくっていた。その後のMCで新曲の合いの手講座の最中でも小川紗季福田花音がそれぞれアカペラで1フレーズづつ歌うなど、スマイレージの強み「生歌」をこれでもかと推す姿にはもはやいやらしさは無かった。


ももいろクローバー
一番気になるのはももクロ。1日目に1階で見てたときはまさに核弾頭、「ももクロすげぇな、勢いあるな!」と感じたが、2日目に2階に来てみると、ももクロの出番では完全にしらけている。そしてももクロ側もそこに特には働き掛けてこない。1階のいつものファン(あるいはある程度濃いDD)に向けていつものパフォーマンスをしているだけで、2階の一見さんやライトファンとの断絶を感じた。
2日目のMCでも「時間がない」アピールで、なんとまさかの自己紹介一部省略。SKEがあんなに長い全員自己紹介をやりきったのに対し、これは明らかに「逃げ」である。たしかに2階では半径5メートル以内にあーりんの自己紹介に合わせて「ぷにっぷに〜」と応えていたのは僕だけであったが、SKEのMCの最中に僕がトイレ抜けした際にロビーで休憩していた某ハロ系有名人さんに「SKEのMCは長くてつまんないよ・・・でもももクロは偉かったね、ウケてないのがわかって自己紹介省略してた」と言われるようでは負けである。
そして「他のアイドルを見たい!」「スマのファン!」と公言してしまう。ライバルではなく、完全にファン目線なのだ。それが良いのか悪いのかはわからないが、やっぱりももクロは意図的に「上に行くこと」を避けている気がするのだ。よく言われるAKBとは違う形で、ももクロももクロなりに「ドラマ」があり「戦い」があった。しかしそれがどうしてもある程度の「偽装」に感じてしまう。「ガチ」で戦うことを巧妙に避けているように感じてしまう。先頭の地位は確保したが、それを越えてトリを取りに行く戦いはしていない。ダンスが売りで、生歌でないのはSKEと同じだ。しかしSKEがそれを隠したがるのに対しももクロはもう「歌わなくていいでしょ?これだけ盛り上がって踊れるし」という開き直り方をする。
ももクロは今が一番アツいのは確かだが、「これ以上拡大して今までのファンを離したくない」という態度がどうしてもちらちらと見えてしまう。この壁はアイドルグループが成長する際にとても重要な問題である。AKBは犠牲を払ってそこを乗り越えた。犠牲にしたファンはももクロに流れた。さぁそこでどうするのか。
おそらく僕がももクロを過大評価し過ぎなのだろう。勢いがあるのは間違いない。まだまだこれからなのだ。まだ明らかにファンの数が少ない。しかしそこから先を見据える上で、上に挙げたような態度がどうなるのか。
これ以上ももクロがファンを増やしたら、「今会えるアイドル」ではなくなってしまう。今のファンはきっとそれを望まない。ももクロはそれを望むのだろうか。覚悟があるのだろうか。僕にはその是非はわからない。きっと「ずっと今のままくらい」が楽しいに決まっている。ただ、ももクロはそこを越える「何か」を持っている、そんな気もする。やっぱり過大評価なのだろうか。

bump.y
最後になってしまったが、bump.y桜庭ななみちゃんは可愛いですね。ちっちゃいまつりちゃんも、ほーんとに田舎の子供って感じで可愛かった笑。
まぁこのユニットは本業は役者なので、特に言うこと無し。そもそも戦いに来ていないし、それでいい。当たり前である。1stシングル「voice」は結構好き。




ラスト曲は唯一全ユニットがステージ上に同時に立って歌う場所。1日目は学園天国、2日目は年下の男の子。当然ながら、ここが一番のアピールポイントでもある。
それを一番分かっていたのがスマイレージ。おでこを出して気合を見せる*4かにょんこと福田花音がここぞとばかりに前に出る・出る・出る。ステージをはみ出して機材が置いてあるスペースギリギリまで出る。2日目の年下の男の子では歌詞の「L・O・V・E」に合わせて4人でYMCAのように手文字を作り、とにかく動く。
それに負けていないのはももクロ。というか多分単純にそばにたくさんアイドルが居て嬉しいのだろう。とにかくテンションが高かった。
最初はおとなしく3列に綺麗に並んだままのSKE。しかしスマ・ももクロのアピールに負けては居られないと思ったのか、後列メンが思い切って後ろから回りこんで上手にいたbump.yのさらに上手側花道近くに移動し、左右のヲタにアピール。これだよこれ、これがアイドル戦国時代!!ファンの目線をより多く集めた者が勝利するのだ!!
そんなやる気MAXの3組に対し、外様のbump.yはブレないことこの上なし。ラスト曲は午後9時近く、最年少メンバーのまつりがステージ上に立てないため会場側壁の関係者用通路の窓から顔を出していたのだが、なんとbump.yは観客そっちのけでひたすらまつりに手を振る続ける有様!本当にブレないな、bump.y。私たちはそこで勝負してませんから!ってことですね。よくわかりました。


そんな8月最後の2日間のアイドルユニットサマーフェスティバル2010。色々書いたが、4グループとも素晴らしかったし楽しかった。
みんな違ってみんないい。そう言うのは簡単である。ただ、こうやって同じステージに立つ以上、戦いは必然である。戦うアイドルは美しい。応援しないわけにはいかない。
もちろん戦わなくてもいい。bump.yのように。bump.yにはbump.yの良さがある。
戦える実力・潜在能力があるものは、現在に妥協しないで上を目指すべきなのか。本当にに難しい問題を孕んでいるようにみえるももいろクローバー。少なくとも彼女たちはまだまだ上昇中なのだ。
古豪復活、元王者のブランドと期待を背負い、若さと勢いとなにより確実な「実力」で、若手アイドルはもとより先輩・韓国アイドルにまで噛み付くスマイレージ。彼女たちは戦うことを選択した。ならば躊躇うことはない、ただ背中を押すのみである。
姉を王者に持つ名古屋の妹。妹には妹の良さがあるはずだ。たとえファンが姉から流れてきているとしても。姉と差別化を図ることが出来るだろうか。少なくとも、現段階の若手では1番人気である。次のターゲットは?姉越えを目指すのか?目指すことは許されるのか?それとも・・・?SKE48、今こそ真価が問われる。


みんな頑張れ。いや、頑張れなんて言わなくても彼女たちは頑張っている。僕たちはただ応援する。アイドルって素晴らしい!

*1:個人的には松井珠理奈を追っていたが、慣れないため途中で見失ってしまうことも多かった

*2:その分純粋なハロヲタは相当飽きていた様子(苦笑)

*3:さゆ大人気だった

*4:悲しいかな、ヲタには不評笑。かにょんがんばれかにょん。ももクロのスマへのラブコールでも唯一名前が挙がらなかったよかにょん