のだめカンタービレ最終楽章 後編

テレビ放送されていた前編を見て、想像以上に面白かったので後編を見に劇場へ。

オーケストラのシーンは残念ながらテレビで見た全編の方が印象深かった。後編は玉木宏の指揮が中心のカットが多くの時間を占めるのだが、僕はそこまで指揮の良し悪しがわからないためそこでなにかの違和感を感じることは無かった。のだめが中心の後編は必然的に「ピアノをしっかり弾いている上野樹里」を画面上に置けないという弱点を露骨に感じてしまうため、その分前半に比べて迫力分足になってしまうのは仕方が無いかもしれない。しかしオーケストラ全体を映す場面はhttp://d.hatena.ne.jp/nhokuto/20100113/1263405234
で言及したニューイヤーコンサートを思い出させ*1ワーナー・マイカルの魅力の一つである音響の良さも相まって十分に満足できるシーンに仕上がっていた。


しかしなによりこの映画で魅力的だったのは、上野樹里玉木宏という役者2人。
玉木宏はドラマ時代に比べるとちょっと老けた印象があったが、白シャツ一枚あるいはシャツ+カーディガン+コートというシンプルな服装を相変わらず実にカッコよく着こなし、原作キャラクターから離れず、かつとらわれすぎない玉木宏なりの千秋先輩をしっかり演じていた。


上野樹里は特に面白い言動をしていなくても、画面に映るだけで笑いを誘うのはもはや卓越した才能だと感じた。映画館の大画面で上野樹里の顔がアップになると、その表情の作り方だけで笑ってしまう。特に数多い食事のシーンは最高で、なにやら口にほおばってリスのようにもぐもぐと咀嚼している姿には笑いを堪えることが出来なかった。前半のあるシーンで、千秋が何か尋ねる→のだめ、食べながら「うん」→尋ねる千秋→のだめ食べながら「うん」→以下リピート、のカット構成は傑作。「結婚して下さい・・・」と迫るシリアスなシーンも、シーツを被り顔だけを出した上野樹里を見るとつい笑ってしまうような絶妙なバランスの絵が出来上がっている。かと思えば後半のシュトレーゼマンとのコンツェルトでは、千秋との決別を決意し、こちらは完全に笑いの要素のない、目に光がない見事な無表情を見せる。素晴らしい演技力を持った女優だ。


ストーリーはほぼ原作通りなので特にいうことも無いが、やはりのだめには幼稚園の先生になって欲しかったかなとは思う。劇中の幼稚園のシーンでも上野樹里演ずるのだめはとても輝いていただけに。


留学編ではあまり出番のなかった瑛太小出恵介らの脇役陣も、久々に出番があれば強烈な存在感を示し、あぁドラマシリーズはこういう楽しさがあったなと思い出させてくれた。瑛太も出ずっぱり感がある中でも飽きを感じさせず、やはり魅力的な俳優であることを再確認。


というわけで、ストーリーはともかく、上野樹里の素晴らしい顔芸(食い顔芸?)や魅力的な笑顔、玉木宏の文句のないカッコ良さ、それを取り巻く脇役陣のコミカルな演技、そしてラストに待ってましたとばかりに流れだすラプソディ・イン・ブルー・・・。素直に良い気分になれるいい映画だった。

*1:流石にニューイヤーコンサートの方が映像自体は美しかったように思えるが、映画館の大画面で見るとやはり迫力は感じる