初心者が行く「ももいろクローバー LIVE & SHOW …& MOVIE!」@池袋シアターグリーン Big Tree Theater

最近気になるももクロちゃん。映画上映がメインなのかと思っていたらライブもかなり長時間と聞いて先日思いつきで行ってきた。


【前提】
僕の個人的なももクロちゃんに関する情報は以下のとおり。
・生で見たことはない イベントに行ったこともない
・曲は非常に好き というか曲が好き 特に「走れ!」 シングル3曲のPVはまあまあ見ている
・名前と顔は一致 推しメンと言えるほどのメンバーは居ないが、しいて言えば佐々木彩夏(あーりん)が可愛いと思う
・自己紹介のやりとりはなんとか覚えた
・たびたび握手会には行かないと言っている通り、基本的に地下アイドルは好きではない
ももクロちゃんはまだ地下の域をでないと思うが、最近乗ってるのかな?そろそろ観に行ってもいいかな?という感じ

【感想】
・映画「シロメ」
「映画」というものに対してかなり感慨な心を持つ自分もこれを「映画」と呼ぶのはさすがに映画さんに失礼だと思うので、「動画」あるいは「映像」と呼ばせていただく。
ドキュメンタリー"風"ホラー映像。そもそも「ホラー」というジャンルが得意でないのだが、ホラーとアイドルは親和性が高いのかな、9月に真野恵里菜のホラー映画も上映予定だな、などと考えながら上映開始。
まずこの映像が「ホラー映画」として評価されることを期待して制作されているとはとても思えないので、ももクロちゃんという「アイドル」の魅力を引き出すための映像だと理解したいのだが、その方向で理解するのにも大きな疑問符がついてしまった。
一般的な話として、ホラー映画ではおそらく「一定の画面効果により視聴者に恐怖・驚きを与える」あるいは「役者の恐怖に怯える演技によって視聴者に驚きを与える」という大きな2つの要素を持つと思われる。また、そこに「主演がアイドルである」という条件を加えるならば、「アイドルが恐怖に怯える「演技」を楽しむ」あるいは「アイドルが本気で驚く際の「素」の反応を楽しむ」という2通りのパターンが加わると思われる。
今回の映像はドキュメンタリー風であり、基本的には(おそらく)事前のネタばらしはできるだけ制限されていて、基本的にはももクロちゃんたちが「素で」驚く姿をカメラは追っていた。そのためか、「一定の画面効果により視聴者に恐怖・驚きを与える」演出は皆無であった。まぁこれをわざわざ観るファンもそんなことは望んでいないと思われるので、これはこれでよいだろう。


が、残念だったのはこの映像がももクロちゃんの魅力を引き出していることに完全に失敗している点である。
メンバーは都市伝説の語り部が部屋に入ってきては泣き叫び、音がなっては泣き叫び、とにかく泣き叫ぶ。おそらく彼女たちも聞かされた都市伝説が真実だとは思ってはいないだろうし、次々と襲いかかる超常現象がスタッフの仕込みである、これは「仕事」であることは重々承知だろう。しかし、我々が完全に作り物だとわかっている遊園地のお化け屋敷でも恐怖を覚えるように、そりゃ目の前で大の大人がわめきだしたり吐瀉したらそれはもう端的に怖い。
さらに途中から「やめてください、やめてください」と連呼するように、ももクロちゃんたちがもう「スタッフやめてくれ」状態で素で不快な様子がありありと伝わってくる。
人が本当に怖いときに見せる行動は、非常に不快である。「素」が可愛い、などという考えは甘かった。叫び声は耳に刺さり、嫌悪感にまみれた顔は本能的に他人にとって不快を与える。霊感を主張する姿も、「お仕事だしさっさと終わらせよう」的な発言もネタ的ならまだしもなまじ本気に聞こえるため見ているこっちはなんだか盛り下がってしまう。画面の向こう側とこちら側の空気に落差がありすぎるのだ。

雑音まみれで、ヤラセ風でお願いしますとわざわざお願いしているのか?とさえ感じる霊能力者2人に「ラップ音です!」と言われないと雑音と判別できないような音声がガンガン響きわたり、カメラもぶれぶれで展開も凡庸でこっちは疲弊しているのに、廃墟は暗くてアイドルの顔が良く見えないしとにかく疲れた。
肝心?のシロメ様出現部屋で踊るシーンもただ暗くて音も良くなくて、そこで踊る意味・プラス効果は何一つ感じられなかった。その後のお約束のシロメ様出現ポルターガイスト現象もうんざり。
成功と引換に呪われた?設定のライブ映像も、ただ全力少女を1曲まるまる流すだけで、まだ終わらないの?という感じだった。「呪われた」設定の発現なのか、最前のファンらしき男が不穏な動きをしている姿がアップされるのだけれど、仕込まなくてもアレくらいいっちゃってるヲタっているよな・・・仕込みなのかなどっちなのかなとか考えちゃう時点でどうなんだろうか。

最後の最後、あかりの憑依シーンはやりきっている感があってよかった。

エンドロールでスタッフから「ドッキリ」札が掲げられるのだけれど、いやドッキリって・・・というため息が観客からもももクロちゃんの顔からも伝わってくる。しかし、一応「ドッキリ」札で荷が下りたのか、再び泣き出すももクロちゃん。お疲れ様でした。。


とまぁこんな調子なので、2回目以降だと思われるヲタがたくさん映画が終わったあとの途中休憩の時間に入ってきて、とても残念な気分になった。ヲタすら見ない映画で、「初映画出演!」と持ち上げられるももクロちゃん。うーん。


おそらくだけど、ホラー映画上映中なのに映像中ももクロちゃんが歌いだすと振り付きで一緒に歌いだす斜め後ろの古参ヲタが黙っていてくれれば5%くらい評価は上昇・・・しないか。うん。


・ライブ
さて、余興の(長い余興だった・・・)映画はさておき、これはもう文句なしに良かった。見に来た甲斐があった。
口パクだが、そのデメリット(?)を上回る激しいダンス。オリジナル曲も、カバー曲もそれぞれの良さがあって非常に勢いと若さを感じた。
また、MIX全開なのかな?と想像していたが、怪盗少女以外はMIXを打つ文化がないようで、地下臭があまりなくて個人的にとても良かった。怪盗少女のMIXにしても、メンバーの名前→ユニット名で締め、といういわゆる「ももクロMIX」で、これも好感が持てた。
メンバーをひとりずつ見てみる。
まずリーダーの百田夏菜子。赤。映画・MCを見ても、周りのメンバーからの信頼を感じ、噂に聞く通りの「リーダー」だった。ダンス・歌共に(歌は生じゃなかったけど)リズムを取るのが非常に上手く、ダンスは派手さはないものの下半身が安定していてとても綺麗だった。生エビ反りすげぇ。
有安杏果。緑。低身長・おバカキャラ・ハスキー。MCでは予想以上に「顔面殴って凹ませたい度」というプラスの評価数値が非常に高くて好感が持てる子だった。ただし曲中はかなりキレがあり、低身長を活かしてかなり暴れてくる。歌もうまく、パート多め。自分の特徴をよくわかっているなと感心した。
早見あかり。青。クールビューティー。こういう子がグループに一人は必要。人気無いのかな?と思っていたけれどそうでもないようで、安心。
玉井詩織。黄。ロリ。毒舌キャラ?なのかな?MCは結構面白かった。ダンスと歌はまだまだかもしれない。映画を見て思ったけど、ツインテールじゃない方が可愛い。
佐々木彩夏。桃。僕はとりあえず桃色がイメージカラーのアイドルしか応援したことがないので、顔も好みなのでとりあえずこの子を暫定推しにして参戦したのだが、生で見てもかなり魅力的だった。最年少だがなかなか踊れるし歌える。周りがかなり細身な分、ぷっくりしていて、いい。これ以上横に広がっちゃだめですよ。
高城れに。紫。すごくいい。いわゆる保田圭のポジションなのだろう。ファンの付き方もかなりコアで、熱狂的だった。MCでも一番笑いを誘っていた。グループに必要不可欠な存在だと思った。踊りは全力バタバタ系。とにかく目立つ。リズムがあってない。だが、それでいい。しかしその日は昼公演に体調不良で休んでいたらしいので、普段ならばもっと良いパフォーマンスなのかもしれない。


新曲のココ☆ナツがかなりよい。癖になりそうだ。とりあえず生まれて初めて着うたフルをダウンロードしてしまった。はやくCD化して欲しい。
全力少女・怪盗少女あたりは鉄板。アンコールラストでは「走れ!」を聴けて、とにかく良かった。
とにかく楽曲のレベルが高いので、CDを出して欲しい。


・その他
ラスト間際のMCでは、ファンとももクロの交流タイムが設けられていた。抽選で決められた列の席の中から、1人最後までジャンケンに勝ち残るとステージ上に上がって指定した推しメンから直接サインを貰える、という仕組みだ。僕はこの余興を知らなかったので、あまりももクロちゃんをしらない自分が勝ち残ってしまったらどうしようなどと想像してかなり心拍数が上がったが、あっさり抽選で外れたので杞憂に終わり安心した。
また、2人目に壇上に登ったヲタは古参の方で、首に巻いていたタオルが黄色であることからしおり推しなのだが、Tシャツが紫だったので、ステージ上の仲間から「なんで紫着てるのー?笑」とヤジがとんでいた。それにちゃんと反応するれに、イメージカラーは紫。
れに「もしかして・・・指名は私・・・・・・(ヲタ間をおいてしおりを選ぶ)ですよねーー^^」
とお約束をやりきったときはさすがだと思った。おそらく壇上の雰囲気からも、彼はメンバーにしおりヲタだと認知されているのだろう。
しかし驚きだったのはその後。れにはそのヲタに「しおりに一言!」と振り、ヲタが「一生付いてきます!」と宣言したのを聞いて、
「いいなー私も言われてみたいなーー」
と客席に振ると、若干動揺する客席の中から手を上げた一人の元に駆け寄り(!)マイクを持たせ「一生付いていきます!」と言わせたあと握手を決めたのだった。

なんというファンサービス。というか僕は恐ろしかった。メジャーデビューを果たし、テレビにもちょくちょく出演するももクロちゃんが、まだこのような距離感でファンと接するとは。近すぎる。僕は本当に怖かった。先程述べた映画中に歌い踊っていたれに古参も「おいアレありかよ・・・まじかよ・・・」とガチで憎しみを込めた言葉を吐き出していて、そりゃそうだよな、とちょっと同情した。


・全体を振り返って

ももクロについて。ひとつ前のエントリにも上げたように、すこしでもアイドルをかじった者から見ると、「かつてのB級アイドルの要素をこれでもかというほど上手に散りばめ、「作られたB級アイドル」をあえて実力のある子たちに演じさせる。その”完璧さ”が面白くない」という見方ができる。その意見には大きく同意できる。が、しかし、僕はそこに「あざとさ」をみる以上に、やはり若さ、明るさ、可愛さ、そしてきらめく可能性を見てしまった。
ももクロが話題になり始めたのは2008年頃。古参のハロヲタ、特にエッグヲタや、ハロからAKBに流れAKBにも飽きた層が流れたと聞く。おそらく彼らの半分程度はそろそろももクロを見限って次のアイドル(東京女子流など)に流れはじめていて、まだそこそこの数の古参が残っている、といった状況なのだろう。現在のところ、ももクロは「目標は紅白出場!」などと宣言しているが、映画の内容を見ても、ライブを見ても、どうも「今いる200人キャパの昔からのお客さん」に満足している様子が感じられる。


アイドルがステップアップするにつれ、ファン層は変わりゆくものである。昔からのお客さんを大事にするのか、新しいお客さんをターゲットにするのか。仕事を選ぶようになるし、箱も大きくなれば、古参からは「○○は変わった。つまらない」と言われるようになるのは必然である。アイドルファンの中で勢力を増し、どこかのタイミングでアイドルファン以外の層にも勝負をかけるのか。その戦略は非常に重要で、そして悩ましい。
例えば散々指摘されるように、AKBは明らかに途中で変わった。それはおそらく大勝負だったと思われるし、そしてそれはプロデューサー、広告代理店の見事な手腕により成功した。AKBというグループの形態が素晴らしかったという要素もあった。だが一方で、アイドルヲタクの中には(特にハロヲタに顕著)AKBおよびプロデューサーらの方針にどこか違和感を感じ取っている人々も多いだろう。


ももクロは6人態勢のある種伝統的なアイドルグループである。全員がイメージカラーを持ち、上手く説明できないが顔つきもいわゆる「ハロヲタ好み」なルックスが揃っていると感じる。戦略もAKBとまったく同じやり方は取れそうにないし、取らないだろう。
ももクロは現状に満足しているのか。本人たちはもちろんそんなことはないだろう。ヤマダ電機の無料ライブからここまで勝ち上がってきたのだ。
だが、本気で「紅白出場」レベルを目指しているのだろうか。それは疑問が残る。本気でもっと上を目指しているのならば、そろそろこのようなライブ形式は脱却しなければいけいないし、こんなクソみたいな映画めいたものを撮って「初主演!」などと盛り上がっている場合でもない。歌も生で歌うことを検討する必要があるかもしれない。現在の曲・踊りを見る限り、そもそも生で歌うようには作られていないはずだ。


現在のももクロが非常に面白いのは確かなのだ。とにかく歌・踊り・ステージパフォーマンス・そしてそれぞれのメンバーに華がある。
ハッキリ言って、プロデュースもこれ以上ももクロをあまり上昇させる気がないのではないのか?とさえ疑ってしまう。これ以上ファンを増やせば、古参は離れていく。それを恐れてわざとつまらない映画を作って、キャパも小さくしてファンとの距離を保っている。そんなことをつい考えてしまった。
AKBプロデューサーの秋元氏も、いつだったかももクロに対して「何をやってくるかわからないから怖い」と言っていたが、半分正解で半分ハズレだろう。今の状態だと、「何をやってくるかわからない、期待感をもたせた感じを全力でキープしている」ように感じてしまった。
アイドルはなまもので、賞味期限はあっという間だ。もしうっかり紅白出場なんて果たしたら、目標がなくなって次の年には解散しているかもしれない。アイドルファンだって、全力でアイドルを応援する一方、常に「これ以上メジャーにならないでくれ」という思いは誰しも持ち合わせているはずだ。


ももクロは凄い。これからもっと上昇するかもしれないし、その期待感がまだまだ続くかもしれない。どこまで計算されているのかわからないけど、計算していると思われてもなお乗っかってしまう自分がいる。もちろん、上に書いたことは考えすぎだろう。当たり前だ。だが、そう感じさせるのも事実なのだ。僕がおかしいのだろうか。よくわからない。


ただ欲をいえば、もうちょっと大きいステージで見たい。キャパ1000人overのオールスタンディング。横浜BRITZとか。どうしてももクロは着席厳守なのだろうか。こういう細かいところが、ヲタにちょっとした不満を募らせて大満足させない狡猾な罠なのだろうか・・・やるなスターダスト・・・ 


などと勝手に妄想を爆発させ、ココ☆ナツを携帯でエンドレスリピート。そういうハマり方をしそうなアイドルで、ももいろクローバー、とてもいいと思います!!!(なんだそりゃ)