いつかのMy Summer Time 2014/7/5〜6『大人の文化祭2014』&『「Sugar Party」Star☆T × Mibuki with tutu&Beat's 2manLIVE』

もう先週のことですが、Mibuki with tutu&Beat's(以下Mibuki〜)を見に、5日は長野市、6日は名古屋と、土曜の早朝から日曜の明け方までフルに使って東京から車でぐるっと回ってきました。7月5日はメンバーのMibukiの誕生日ということもあり、柄にもなくプレゼントを用意してみたりとライブ以外にも楽しみはたくさんあり、恐ろしく密度の濃い週末でしたが、もちろん肝心のステージはそれは素晴らしいものでした。

5日に2回、6日に2回と合計4回のステージがあり、特に6日の2マンライブは持ち時間が各70分ということもあり、2回目は彼女たちがリスペクトしているという東京女子流と8月23日に開催されるダイナソニックで初共演が決まった記念に東京女子流のカバー曲をフィーチャーするといった趣向を凝らしてみたりと、多彩なオリジナル曲・カバー曲を見ることができた2日間でした。

その4回のステージの中で、全ての回に同じ曲順で組み込まれていた2曲がありました。それは、すでに発売済みの3枚目のCD-R盤に収録されている『Exciting smart life』と、2ndワンマンで初披露され現時点では未収録の新曲『My Summer Time』です。

「ワクワクした近未来を描いたこの夏の新曲」と紹介される『Exciting smart life』。

さわやかで跳ねるような明るい曲調で、メインボーカルをMibukiとNanamiが務めています。メインボーカルの背後で、両翼のWakanaとMiyuが交互に前身・後退を繰り返しながら「Exciting Smart Life for you、Exciting Smart Life for me・・・」とサブメロディを重ねるのが特徴的で、ダンスとボーカルが上手く融合しながら、4人というメンバー数の魅せ方がとても上手いなと感じる曲です。

そして、『My Summer Time』。

ダボススノーパークという長野県上田のスキー場のイメージソングである『Precious White』や、『セピア色のRecollection』といった代表曲から、Mibuki〜はこれまで冬のイメージが非常に強いグループだったように思われます。激しい縦ノリの持ち曲は一つも持たず、雪の結晶のように繊細で軽やかで、時に情熱的に歌い踊る彼女たちの季語はいつでも冬。それは、自分が彼女たちと初めてであった季節だという個人的な事情も大きく影響しているかもしれません。
そんななかで、初めて「Summer」という季語が曲名に託された正真正銘の夏の新曲。やはり縦ノリで盛り上がる曲ではありませんでした。少し抑えめのBPMから始まる、涼しげで爽やかに流れるイントロ。Miyu・Nanami・Wakanaの中2組3人が担当する美しいコーラス。いつものキレのある動きをぐっとこらえた、ゆるやかにしなやかに揺れる振付。そして、Mibukiのメインボーカル。
それは、これまでの彼女たちの「冬」のイメージから、雪がゆっくりと溶け、高原の湖へゆっくりと流れこむような、瑞々しい「水」のイメージにあふれているように思われました。
6月15日に開催された2ndワンマン(上記動画)でこの曲が初披露されたときは、その幸せなメロディと空間に身を漂わせて、ぷかぷかと水に浮いているような気持ちで最高の気分に包まれていたことをよく覚えています。その時はほとんど歌詞に注意して聞いていたわけではないのですが、あらためて歌詞を見てみると、たしかに「水面」「夏の風」といった単語が出てくるのですが、湖ではなく海を歌った曲のようです。しかし、その後何度聞いても頭のなかに広がるのは高原の風と、それにゆれる湖の水面の波といった情景です。最近良く着ている白いワンピース風の衣装で、コーラスを担当する3人の優雅な踊りはまるでスワンのようですし、自分の中では勝手に高原の湖の曲として受け止めています。

満を持して登場した初の「夏曲」ですが、この2日間で合計4回披露された際には、ワンマンで初披露された時から大きな変更点がありました。それは、メインボーカルの9割以上をリーダーのMibukiが担当するようになった点です。初披露の際もメインはMibukiが担当していたのですが、変更後は終盤のCメロでWakanaが一部を担当する以外はすべてのパートをMibuki一人で歌っており、3人はコーラスとダンスに徹しています。
思えばグループ名からMibukiの名を冠し、中2組3人に対して一人だけ高校1年生であるリーダーのMibukiは明らかにグループで特別な存在です。しかし、少なくとも自分がMibuki〜を見るようになった4人時代以降は、Mibukiを明確にセンターに置いたり、(多少はありますが)明らかに優遇されたパート割りをあてることはありませんでした。その理由は深いところまではわかりませんが、歌やダンスに関して言えば、素人の自分が見る限りではMibukiが頭ひとつ抜けているということはなく、4人とも高いレベルでまとまっていることが理由なのかもしれません。
そのような状況で、この曲でついにMibukiを誰もが分かる形で中心に持ってきたこの曲は明らかに勝負曲であり、Mibukiにとっても、グループにとっても試される1曲となっていることは間違いないでしょう。現時点ではCD音源化もされていないようにまだまだ未完成での曲であり、披露されるごとに成長し、新たな魅力が生まれてくる過程にあります。Mibukiはパート割りを外されたメンバーの分の期待を背負いながら1曲の大部分を一人で歌いきらなければいけません。そして、Miyu・Nanami・Wakanaの3人は、決してMibukiのメインパートのオマケではなく、むしろこの曲に関してはコーラスのほうが重要なのではないかと思われるくらいに重要な部分を任されています。イントロからサビまで、とにかくコーラスの美しさがこの曲の美しさに直結する作りになっていますし、転調もあり、きっと難易度は高いことでしょう。3人のコーラスが曲全体の美しさとMibukiのメインパートを支え、Mibukiはそのプレッシャーの中で、3人に頼りつつも、Mibukiにしかできないことを一人でやり遂げなければいけない。それはあたかもグループの構造がこの1曲につまっているかのようです。

この夏、すでに毎週のようにイベントが告知されており、メンバーも夏休みということもありその回数はこれまでに比べれば明らかに多くなっています。その中でこのMy Summer Timeを何回聴くことができるのか、欲を言えば、自分がこの曲を聴くたびに想像する高原の野外ステージで聴くことができる機会があるのか、楽しみで仕方ありません。

自分がいままでアイドルを見てきた中で、こんなにも「このひと夏」を意識しているのは初めてかもしれません。振り返ってみれば、これまで自分は、このまま永遠につづくのではないかという錯覚に陥るようなアイドル現場を好んできたように思います。もちろん、心地良い空間が永遠につづくことは決してありません。むしろ、女性アイドルであれば、刹那的な輝きを楽しむというのがふつうであるようにも思いますが、なぜか自分はそこに楽しみを見出すことはほとんどありませんでした。しかし、Mibuki〜には今までになく「今みておかないとダメなんだ」という焦燥感を感じてしまいます。それは、彼女たちの絶妙な年齢構成と関係性にあるのかもしれませんし、自分の個人的な生活環境の影響なのかもしれません。

とにかく、2014年のこの夏こそが「My Summer Time」になることは間違いないのではないか、将来この曲を聴くたびに幸せな思い出としてこの夏を振り返ることができるのではないか、そんな希望を持ちながら、My Summer Timeを次に聴く事ができる機会と、CDの発売を心待ちにしている日々です。