Berryz工房コンサートツアー2010秋冬〜ベリ高フェス! 11/06@JCBホール

Berryz工房コンサートツアー2010秋冬〜ベリ高フェス!初日昼公演に行ってきた。アリーナ16列。
一人スレなどの様子をみると散々な評価の初日だが、個人的には最高のセットリストで素晴らしいツアーになると思う。一応セットリストなどのネタバレを含むのでツアー参戦予定の方は注意してください。


では。
なんといっても序盤の中盤の構成が素晴らしい。くじびきで歌い手が決めるソロ曲『日直〜芸能人の会話〜』の後の、『フラれパターン』『君の友達』『MOON POWER』という3曲。どれもオイオイコールで無理やり観客を巻き込むようなアップテンポの曲ではなく、3曲とも別の顔を見せる必要がある。
フラれパターンでは、キャラクターだけでなく音域にも個性が出る7人による華麗な重唱で、振られると分かっていても彼氏に尽くす女性を表現する。君の友達では、女友達と本当に好きな女の子との関係に悩む男の子の歌で、こういう曲調をなんと呼ぶのかわからないが、不思議な雰囲気の曲調。梨沙子の台詞もまた特徴的だ。3曲目はMOON POWER。3億円少女*1の時に日替わりコンビで披露した時とは違った雰囲気での6人*2による完成度の高い1曲だった。


娘。が総合力、℃-uteがダンスと勢いで勝負するのなら、ベリは多様性と本気度で勝負!パラパラのなん恋でしょっぱなから盛り上げ、the アイドルソング!とでもいうべき好き好き指数でバッチリ会場の空気を掴む。today is my birthdayやあななしといった昔の曲も、大学生メンバーが居る今聴くと違った趣きが。衣舞様だって出てきてしまうし、イナイレ曲や友情純情で跳ね叫び爆発することだって出来る。ラストに歌い上げたのは『希望の夜』。2年前に初めてベリコンに行ったときは、ラスト曲は盛り上がったほうが楽しいのになと思っていた自分だが、その頃に比べてもベリは格段に進歩している。サイリュームを振ることすら忘れ、目をうるませながら立ち尽くしてしまった。


アイドルコンサートを楽しいと感じる時、大きく分けて2種類のパターンに分類できる。爆発して突き抜けるような快感と、ゾクゾクするような快感である。前者は「無理やり踊らされてる感」がなければ、比較的容易にアップテンポで激しく動くような曲で体験できるのだが、後者の鳥肌が立つような快感は様々な条件が咬み合わないとなかなか味わうことは出来ない。以前にも桃子の凛とした表情が好きだと書いたことがあるが、今回のツアーではそのような桃子に対面し、ゾクゾクする快感に包まれた。突き刺さるような目線と、小さく閉じた特徴的な口元。あぁ。ベリ高フェスと名乗りながら、未だにツインテールでステージに立ちながら、嗣永桃子はもう立派な大学生なのだ。ベリコンでは申し訳ないが大体桃子しか見ていないのだが、それでも瞬間瞬間に7人の個々の力強さと同時にユニットとしての完成度をひしひしと感じた。


さて、今回のツアーでは「ベリ高フェス」と名乗るように、コンセプトは文化祭である。今まであまりツアータイトルを必要以上に意識したことはなかったが、今回は入場してすぐにメンバー手作りのモニュメントが飾ってあったり、開演前に校内放送風のちょっとした余興があったりとなかなか文化祭の雰囲気が素直に感じられ、JCBホールの作りがこれまたこのコンセプトにぴったりだった。
CCレモンホール・中野サンプラザ・(今は無き)東京厚生年金会館といった最近の東京公演での主要ホールと異なる作りになっている。高く広めのステージと、フラットなアリーナ。アリーナ席の後ろから3列目にいたのだが、正直ステージが見づらい。だが「学園祭の体育館ステージ」と同等の目線を獲得しているため、実に「それっぽい」のだ。
女子校の文化祭というのは、男にとってはハードルが高いものである。教室の展示や企画はつまらないし、ステージイベントでは一部の男子校生やその女子校の生徒以外はあまり楽しめない内輪受けの内容だったりする。それでもたまに可愛い子が歌っていたりするのを見ると、へぇ、とちょっと気分が良くなったりするし、唯一顔を知っている、その子のために学園祭に来た、その好意を抱いている子の姿が目に入ったりするとドキドキがとまらなかったり*3。疎外感の中で、ステージに立つ高嶺の花のあの子を見つめる。そんな学園祭の風景・思い出が重なり、ステージまでの距離感がBerryz工房のアイドル性を限界まで高める。手を振っても、おそらく周囲の数百人数千人に埋れて見えていないに違いない。でももしかしたら、もしかしたらみえているかもしれない。ももクロオトメ☆コーポレーションといったアイドルの現場で麻痺していた感覚が戻ってきたかのようで、距離の遠さが、コミュニケーションの困難さが逆にとても快感だった。


おそらく今回のコンサートが不評だとすれば、フリコピが楽しい曲やとにかく盛り上がる曲が少ないことに不満を持つ人達や、イナズマイレブンをきっかけにファンになった人達だろう。前者はともかく後者のファンは可哀想かもしれない。が、しかしシングル曲・定番曲を極力絞っても*4これだけ素晴らしいコンサートが出来るBerryz工房はほんとうに素晴らしいと思うし、ダンスや歌といったパフォーマンスの完成度あるいは盛り上がりだけがアイドルコンサートの評価軸ではないということをまざまざと見せつけてくれた。正直2008年の時点で「あと2年は戦える」と思っていたBerryz工房だが、その目算は明らかに誤りだった。いつか別れの日は来るだろうが、その日まで個性豊かにのびのびと活動して欲しい、そう思えるコンサートツアー初日だった。

*1:3億円少女といえば、大人の麦茶の方々がファミ席に観に来ていたが、それに気づいたヲタが開演前に「キカイダー!!」とまさかのキカイダー推し、という場面もあったり

*2:梨沙子は衣舞様に変身のためお休み

*3:すごく個人的な思い出を重ねた語りでゴメンンナサイ

*4:しかもどうやら昼夜でセットリストの変更があったらしい