℃-uteコンサートツアー2010夏秋〜ダンススペシャル!!「超占イト!!」〜 9/19@渋谷CCレモンホール 上昇気流の℃-uteと岡井千聖

℃-uteコンサートツアー2010夏秋〜ダンススペシャル!!「超占イト!!」〜の渋谷夜公演に行ってきた。席は1階12列。

℃-uteにはBerryz工房に比べてそこまで特別な思い入れはないのだが、2008年からなんだかんだ毎回コンサートツアーには必ず1回ずつ足を運んでいる。
℃-uteの2008〜2009は停滞の年だった。僕はデビューからレコ大新人賞までの破竹の快進撃時代をリアルタイムでは知らないが、僕が℃-uteに行くようになった頃は確実に停滞していた。その澱みは有原栞菜梅田えりかの脱退・卒業でピークを迎え、そこから5人体制化になり、愛理1TOP、イメージカラー変更など、当時の反応からすると「迷走」と呼んでもいいかもしれない「変化」が必然的に生まれた。
混乱期を抜け、℃-uteは上昇気流の兆しを掴んだ。兎にも角にも、℃-uteに必要だったのは鈴木愛理矢島舞美以外のメンバーの奮起だった。それにまず応えたのは中島早貴だった。℃-uteコンサートツアー 2010春〜ショッキングLIVE〜はなっきぃのためのコンサートツアーだったように思える。自分のキャラクターをある程度自覚し、輝く道を見つけた。もともとダンスのスキルは一級品だ。前に出てでしゃばる勇気と、それによって叩かれることを武器にすることを覚えた。歌がヘタなことが必ずしも欠点ではなく、それを「味」にすることも覚えた。
残るメンバーは岡井千聖萩原舞。「ちさまい」コンビである。年少コンビ(と言っても愛理とちっさーは同い年だが)はグループの賑やかし役で、良くも悪くも自由奔放だった。℃-uteが5人になって、この2人がグループ内で浮いてしまったら完全に終わりだと思っていた。一度出来てしまった前列と後列の溝を埋めるのは難しい。この2人が自覚を持つことが必要であり、℃-uteはある意味この2人次第だと思っていた。


前回、そして今回のコンサートを見て、℃-uteの上昇気流を確実に感じ取った。5人体制がようやく板についてきたのか、コンパクトで洗練されたパフォーマンスと爆発力が両立していた。個々のレベルの高さと全体としてのまとまりの両立。やはり基本的には舞美・愛理の2TOPだが、前列後列の「溝」は見えず、しっかりと「役割分担」になっていた。
歌える・踊れることはハロープロジェクトの一員であれば当然求められる。じゃあ激しく踊ってなおかつ歌えるのか。℃-uteには新メンバーが加入する娘。*1とも違い、先にデビューを果たしたBerryz工房とも違い、長くレッスンを重ねた基礎能力の高さがある。とにかくダンス勝負。歌も手を抜かない。そういう明確な方針がようやく見えたのではないだろうか。着替え時間にスクリーンで流されたショートムービーもかなり遊んでおり、矢島:汗かき/鈴木:寒いギャグ/中島:ヘタレ/岡井:遅刻魔/萩原:生意気、とヲタにも共有されている各メンバーのキャラクター性を分かりやすく抽出していて、ヲタ/スタッフ/℃-uteメンバー、3者の信頼関係が凄く良い方向に向かっているなと感じた。


そしてなにより今回は岡井千聖の頑張りが感じられた。元々歌はそれなりに上手いと思っていたが、音をしっかり取るだけでなく、単に5人の中の一人だからパートがあるわけでもなく、「岡井千聖の声」が℃-uteの中で必要なんだと思わせるような歌いぶりがまだまだ少ないパートの中でしっかり伝わってきた。身体は固いが、笑顔を絶やさず、やる気を感じさせるダンス。今までの岡井ちゃんはパフォーマンスにムラがあるのが欠点で、明らかに精彩を欠く場面もしばしば見られたのに今回はまったくそういう部分を出さなかった。生々しいことを言うと、ビジュアル的にもずいぶん可愛らしくなり、一時期に比べしっかりとスタイルも絞っており(スタイル維持という評価は分かりやすくアイドルの自覚についての判断材料になる)、元々グラマーな分、露出度の高い衣装や身体のラインがくっきりと出るドレス衣装が非常にステージ上で映えていた。曲中での客席への煽りもすっかり岡井ちゃんの役割となっており、「JUMP」で一番楽しそうに飛び回っていたのも岡井ちゃんだった。なによりメドレーで歌った太陽とシスコムーンの「宇宙でLa Ta Ta」は本当に素晴らしく、メロディ・リズムが取りづらく難しいと思われる*2この名曲を見事に歌いこなしており、鳥肌が立ってしまった。


また、どの曲だったか忘れたが千聖・愛理という同級生コンビが背中合わせで歌うシーンがあった。℃-uteで愛理の実力が突出しているのは周知であり、今までであれば岡井ちゃんは愛理の影に霞んでしまうのだが、今回のそのシーンでは岡井ちゃんは愛理に負けていなかったのが印象的だった。
いままで岡井ちゃんは同級生である愛理に対してどこか「諦め」を抱いていたように思える。愛理は人気あるから。愛理は歌が上手いから。愛理は踊りも上手いから。愛理は愛理だから。でも、そこを諦めてしまっては℃-uteは成り立たない。愛理ソロでいい。℃-ute℃-uteであるためには、岡井ちゃんは愛理と同じグループの一員であり良きライバルでなければならない。もちろん現状において差は歴然と存在する。愛理のパフォーマンスはちょっと手のつけられないところまで来ていると感じる時もある。
でも今回の岡井ちゃんは、愛理に対する引け目や諦めを感じさせなかった。横に並んでも、両者が輝いていた。そういう精神的な部分はステージ上で分かりやすく見えてしまうのだ。岡井ちゃんはこれからもマイマイと戯れてなっきぃをいじめるだけでなく、愛理や舞美に噛み付いていかないといけない。もちろん前者の「岡井ちゃんらしさ」も必要だ。時には調子に乗りすぎて失敗することもあるだろう。でも間違いなく岡井ちゃんは上昇気流に乗っている。どんどんチャレンジして欲しい。


新曲にして一気に超キラーチューンと化した「Danceでバコーン!」岡井ちゃんのパートは以前に比べてなかなか多い方である。そして1番2番共にサビ前の重要なパートを任されている。サビで爆発する前にタメにタメる部分、岡井ちゃんのハスキーボイスが低音で輝く。


「手柄取り上げないで」「人のせいにしないで」


そうだ。愛理だけに手柄を取り上げられてはいけないのだ。貪欲に手柄(パート)を取りに行く決意が必要なのだ。一時期囁かれた℃-uteの凋落は岡井ちゃんのせいではない。℃-uteの上昇に岡井ちゃんが貢献する番なのだ。


2番のサビ。


「慰めはいらないわ」


そうだ。岡井ちゃんに慰めなんか要らない。だって岡井ちゃんは諦めてないもの。これからが岡井ちゃんの時代だもの。

そして2番のサビラスト。低音だけでなく、高音部だってしっかりとした声量で歌いこなす。多幸感を感じさせる歌声。


「帰りにうどん食べてくわ 明日が待ってるもん♪」


そうだ。これが岡井千聖の真骨頂なのだ。戦うにはエネルギーが必要である。腹が減っては戦は出来ぬ。℃-uteの明日を見据えて、うどん食べまくる岡井ちゃん。きっとバカ食いしてるだろう。そして目を細めながらニンマリ笑っていればそれでいい。元気な岡井ちゃんの笑顔が見たいもの。どんなに可愛らしくなっても、岡井少年とよばれた持ち前の元気と笑顔はきっと失わない。岡井ちゃんの輝き。僕らの輝き。そう、℃-uteの輝きは岡井ちゃんにかかっているのだ。

*1:長い間新メンバーが加入せず円熟期を迎えた娘。と℃-uteの差異化は、小春亀井JJLL卒業&9期募集によりようやく図られることとなった

*2:すごく個人的な話ですがこの歌好きなのでよく一人で行くカラオケで歌おうとチャレンジするのですが難しすぎて上手く歌えないのです