2010ハロー!プロジェクト新人公演3月〜横浜GOLD!〜

もともと昼しか確保していなかったけれど、急遽夜も入る気になって昼夜入場。大正解。
セットリスト・パフォーマンスは全体的に可も負荷もなくという感じ。昼夜共に圧縮がかなり弱くて、前でも楽に見れた。


出演者の中で気になった人たち。


譜久村聖
エロい。他になんと形容できようか。


平野智美
前日ひらっちについてのエントリもあげたことだし、今日はひらっちを見に行くかなという気分で昼公演へ。
予め出演情報を把握していかなかったので、狭い視界でなんとか全体をキョロキョロしながら姿を探すも、曲の半分くらいまで進んで突然後列から出現してえぇいたの!!??なんてこともしばしば。しばしばというか出演全3曲中2曲。
正月シャッフルコンではかなり目立つ位置に配置されていたので期待していたが、今回はほぼ後列両翼。全然見えず。なんだか持て余されているなぁ、という印象。やっぱり存在感・オーラ・華といったものがあまり感じられないし、厳しいのかな。出演者紹介では、それなりに全員に歓声が上がるベリキュー娘とちがって人気不人気が声援に如実に反映されるのだけれど、ひらっち紹介シーンではかなり悲惨なことに。。

昼公演で出現位置を把握し、夜公演は最上手2列目に潜り込みひらっちシフトを敢行。かなり近い距離で見ることができ、色々気づいたことも。
肌の色が段違いに白いこと。よくMC中にしぱしぱ恐ろしい勢いで瞬きをしているのだけれど、あれはMC中だけじゃなくて歌の途中も同じだと言うこと。そりゃ笑ってないはずだ。まるでハチドリの羽ばたきのよう。目の前に来たのでなんどかレス(なんというか、アイドル用語よりももっと原語に近い純粋な意味で応答・反応)を期待したのだが、こっちを向くどころか彼女は常に虚空に目線を置いているようだった。とても近くにいるのに、ものすごい断絶を感じた。この人は表層のネタに出来る部分だけに留まらず、幻想のコミュニケーションさえも向こうから拒否してしまうという、どこまでも原理的に非・アイドルなんだという深い実感を得た。でも、彼女はハロプロという老舗の新人公演で踊っている、間違いなくアイドルである。
たまたまid:onoyaさんと話す機会があり、彼女の異端性について語り合った。
この場で小学生組に歓声を送るのは非日常の中でのある意味正常な行為だけれど、ここで26歳の彼女に声援を送るのはある種犯罪に近いものがあるというねじれ現象がおきている。非日常の非正常。そしてあらゆる異端性さえも内包する*1ハロプロのchaosに惹かれるのだと。
個人的にはもっと彼女のことを見ていきたいのだが、やはりこのままでは厳しいかもしれない。非・アイドルでいながら、アイドルとして存在する、そんな矛盾はいつまでも続くはずが無いのだ。


和田彩花
昼公演の一曲目、中央4列目付近にいた僕の目の前で堂々とセンターに立っていたのは和田彩花だった。髪を切ったこともあり、今までとは違う印象を受けた。動き出し、その表情、全身から、輝きに溢れていた。あれ、和田彩花ってこんなに輝きをもっていたっけ。そう感じた。
一皮剥けたな、という印象はパフォーマンスだけではなく、MCでも感じることができた。和田彩花といえば、ファンの間ではブログやMCで斜め上の発言を行うことで有名であり、良くも悪くも既存の天然ボケキャラスタイルに甘んじていた。
しかし、今回の卒業にあたって昼公演でのラストMCでは
「エッグに入ってすぐの時にはあまりに歌がヘタでボリュームを絞られていた。その時は何も思わなかったけれど、今思うと悔しい。そして今はしっかり歌えるように成長出来て嬉しい」
と、ちゃんと「DAWAらしく」笑えて、なおかつ卒業にあたって「成長」を語るという、とてもまともで素敵な発言を行っていた。
さらに夜公演では
「エッグに入りたての頃は誰も私に注目していないと思っていた。でも、実はしっかり見ていてくれていた。今ではこんなに応援してもらっている。だから、今のエッグの新人の人たちも、注目されていないわけではないよ、しっかり皆さんが見ていてくれているよ」
と、また違った成長のエピソードを語るとともに、先輩として、後輩エッグに素晴らしいアドバイスを送っていた。昼夜公演のスマイレージ4人計8回の中で、「これからも仲良くしてね」という形以外に、エッグについて言及したのは和田だけだった。エッグの中では古株ではあるものの、ライバル達の中から先に抜け出す形となり、それを受け止めて残されたエッグたちに対してちゃんと言及出来るのは偉いなと思う。
4人の中でまだ若く元気担当の小川紗季や、泣き虫の前田憂佳はともかく、実に優等生アイドルである福田花音和田彩花と比較するとどうも辛いなと感じてしまう。しばしば嗣永桃子に倣って花音プロと形容されることもあるが、どうしてもファンに対する優等生的な態度がどうにも自己中心的に見えてしまうのは非常に損である。その殻を破らない限り、天性のセンスを持った和田彩花前田憂佳にはかなわないだろう。しかしそのどんなに頑張っても3番手という悲劇、そしてある意味加護亜依的な危うさ*2を抱えている部分も含めて個人的には福田花音から目が離せないのだけれど。


北原沙弥香
そんな和田彩花の卒業にむけての一言を受けて、エッグを代表して送辞を送ったのが北原沙弥香だった。
夜公演の送辞要約。
スマイレージの4人のデビューが決まった時は心から嬉しかった。でも、正直悔しくもあった。一緒にデビューを目指して競い合った良きライバルだったから。それでも、スマイレージはエッグの道を切り開いてくれたし、勇気をくれた。スマイレージ卒業後のエッグは、もっと上を目指せるはず。・・・もたもたしてると追い抜いちゃうぞ♪」

文字に起こすと大した台詞でも無いように思われる。しかし、どのイベントでもコンサートでもMCは形式的で絶望的につまらなく、大抵台本が用意されていると思われるハロプロにあって、弱冠16歳の北原沙弥香が、このような形で年長エッグの誰もが思っているだろう、「悔しかった」という本音(と素直に僕たちに思わせること)をきちんと言葉にし、堂々と自分の言葉で*3送辞を行った。可愛らしく冗談めいて占めたのも心憎い。
新人公演という性質上、スマイレージやエッグを真剣に応援しているというより、地下・プレアイドルDD、単に騒ぎに来ている人も多かっただろう。僕を含め、スマイレージが卒業するといってもどうせ形式的なものに過ぎないのだろうと冷ややかな目で見ていた人も多かっただろう。しかし、さぁやの送辞があったからこそ、スマイレージも、残されたエッグ達も救われた。
なんだ、ハロプロにもまだ「物語」があるじゃないか。そう感じさせてくれた。
なにも本音こそが正義、と言っているのではない。*4そもそも本音と建前を二項対立で捉えるのもバカらしい。
しかし、老舗・プロとしてのプライド、形式にこだわるあまり、ハロプロに漂う閉塞感、それをさぁやは吹き飛ばしてくれた。ここでスマイレージが「応援よろしくお願いします、これからも頑張ります」に終止し、残されたエッグ、特にスマイレージより年上の実力者、北原沙弥香吉川友らが笑顔で見送っているようではスマイレージひいてはハロプロ自体は真に終焉を迎えただろう。2009年、℃-uteから2人、娘。から1人、(実質上)何も言わずに舞台を去った。2010年も上(娘ベリキュー)からは何も言わずに去るメンバーが出て、何も言わずに下(エッグ)は沈んでいくのか。そんな不安を振り払う、最低限の譲れない「本音」だったのではないか。

北原沙弥香の送辞は実に象徴的で、幻想かもしれないけれど、わずかな希望が見えた、そんな気がした。
さぁや、きっか、そしてエッグのみんな、頑張れ!!*5

*1:西念未彩しかり。

*2:顔もそっくりだとよく言われますしね

*3:台本があったなかったというレベルの話ではない。さぁやはあの時メモを読んでいるわけでもなかったし、なによりしっかり内容を噛み砕いてたという意味で、自分の言葉で語っていた。

*4:初期娘。とは違い、今のハロプロはプロフェッショナルかつ保守的な部分を大事にするべきだし、アイドルの本音をダダ漏れにする(ような演出を行う)ことには基本的には反対であるけれど。

*5:アイドルファンというのは究極的には頑張っている女の子を応援する存在なのだ!!