第9回ハロプロ楽曲大賞2010 アイドル楽曲部門

今年もやって来ましたハロプロ楽曲大賞。誰が呼んだか現世は戦乱の「アイドル戦国時代」、若き乙女達が戦いを繰り広げる様を総括しようじゃないかと、(おそらく)今年限定で用意されたのがアイドル楽曲部門。悩みに悩み、さて投票でござる。

1位 ももいろクローバー 走れ! 3.5pt


ももクロちゃん。間違いなく今年一番多く聴いた。聞くたびに涙が出てくるのはもはや条件反射の域。一人称が「僕」でさわやか青春真っ盛り!という男子中高生に共感を誘う戦略はAKBが得意とするように近年のアイドル曲のトレンドであるのは明らか。しかし20をとうに過ぎたヲタにも響くものは響くのです。
こういう楽曲ではとにもかくにも「好き」というワードが散りばめられるのがお約束であるが、この曲で繰り返されるキーワードは曲名でもある「走れ!」。曲と歌詞が相乗効果でとにかく前へ前へと聞く者の心を持っていく。RAP調で流れていくメロ、大サビの前ではメンバーごとに割り振られた低音部と高音部の繰り返しでこれでもかというほどに高められた感情。

「それでも答えは出せないよ 少しの言葉出せないよ 「君が好き」それだけで世界を変える?変わる?」

リーダー夏菜子渾身の長パートでようやく最後に搾り出された「好き」の一言に込められた感情は、その後のブレイク→転調ラストサビで一気に開放される。このカタルシスは何なんだ、ももクロちゃん!!


2位 ももいろクローバー ココ☆ナツ 3pt


「シロメ」というどう評価していいかわからないムービーのエンディングテーマとなったお気楽ソング。発表が9月、発売が11月!!着うたフルはダウンロードしたけど、2ヶ月間待ちわびた感動は11月の寒さでやや薄れたか。
が、11月になってCDを開封しPCのドライブに放り込んで数十秒後、僕は部屋の中でニワトリに変身し回っていた。ココココココココココココココココココ〜。そのままエンドレスリピートに突入し床にのたうちまわり壁に頭を打ち付ける寸前。歌詞に意味はありません。さぁみんなでニワトリになってぐるぐる回りましょう。細かいポイントでも、夏菜子の「yes!」の完璧さとか、有安センセイの「九十九里浜ァ」の衝撃のウザさなど、さまざまなギミックが仕込まれておりもう勘弁して下さい。


3位 ももいろクローバー 行くぜっ!怪盗少女 2pt


なんと3位まで全部ももクロちゃん・・・別にももクロヲタというわけではないのですが、評価せざるを得ないでしょう。5月のMJで核弾頭ももクロここにあり!を見せつけた一曲。定番の自己紹介ソングに怪盗という謎のコンセプトを合わせて貫き通しながら、そのスピード感と完成度の高さは一品級で、「へんしーん!」「2番!」など現場のヲタへの配慮もバッチリ。とにかくももクロの楽曲のレベルの高さを代表する1曲。海老反りJUMP!!


4位 SKE48 ピノキオ軍(シアターガールズver.) 1pt


AKBがついにミリオンを達成するも、楽曲自体は2010年に関して言えばぱっとしなかったので、SKEから1曲。SKEも今年のシングル1!2!3!4!ヨロシク!以外はいわゆる「僕は君に片思いだよ好きだ好きだ青春だ」曲に落ち着いてしまっているので評価し辛い。
その中で光るのがこのピノキオ軍、2分45秒程度の短い時間をノンストップにとにかくコミカルに突っ走る。フォーメーションダンスも腰をかがめながらの行進など面白い動きが多く、観ていても楽しい。なにより歌詞の内容が「最近絶好調!いい気になってるピノキオだけどこのまま突っ走って天下とろうぜ、イエーイ!!」というなんとも自己風刺的な、秋元氏が得意とする憎めない歌詞。そして何よりこれをAKBではなくSKEの、しかも選抜漏れのシアターガールズが歌っているという皮肉!絶対全部わかってる、わかってて歌わせてる!この子達はまさに勝ち馬に乗れてない、まさにピノキオ・・・。PVも米軍風のよくわからん訓練風景だし、こういうおちゃらけは大好きです。頑張れ、ピノキオ!


5位 オトメ☆コーポレーション 夢で逢いましょう 0.5pt

入社式

入社式

ももクロ3枠、SKE1枠を使ってしまったらどうかんがえても5位には女子流とかアイドリング!!!あたりを入れなければいけないはずなのだが、オトメ☆コーポレーションを見捨てるわけには行かなかった・・・。
さて都内で活動中の新規参入アイドル企業「オトメ☆コーポレーション」、ファンは「株主」と呼ばれ、CDを買えば株券がついてくるのです。こ、これはまごうことなく有価証券!!・・・と、何もかもが資本主義に取り込まれた中で波にのる某勝ち馬アイドルユニットへの強烈な風刺とおもいきや、全然売れてない。しかも企業なのに農業部とかわけわかんないメンバーがリーダーだし、企業じゃなくてJAじゃん、それ。実際JA伊那と提携してるし・・・。しかもファンは株主とか言いながら歌う歌は社内恋愛の歌ばかり。僕ら株主はメンバーの社内での色恋を指を加えてみているしか無いのですね、ええ、それもよいでしょう。
そしてこの「夢で逢いましょう」、極めてチープなミディアムテンポのポップな曲調に歌詞カードでたった8行の歌詞を乗せて歌う、恋愛曲。社内恋愛できないならせめて夢の中くらいメンバーと会いたいものですな。このあらゆるところに噴出する「ズレ」によって、アイドル戦国時代と呼ばれ青春パワー全開の若い女の子たちが天下取りに励む中、平均年齢20歳の自称「乙女」の歌が心に刺さるのです。


総括

すっごいつまんない結果になってしまいました・・・反省。でも楽曲自体はここに載せなかったユニットだと9nineとかトマパイとかbump.yとかFeamとか、あとKARAと少女時代も、雑食でちょくちょく手を出しては聴いてます。
格付けというのは難しいものです。楽曲の評価だけ見るとももクロは5曲中3曲も入ってしまいますが、じゃあユニットとして飛び抜けて最高かというとそうとも限りませんよね。トマパイなんかはこの企画がなかったらたぶん手を出していなかったと思うので、いいきっかけになりました。
戦国時代を通り越して早くもアイドルバブルがはじけるのもすぐそこだという警告もちらほら耳にしますが、そう悲観的にならず敵対的にもならず、いいものはいいと素直に認め、好きな曲を見つけて好きなアイドルを応援していきたいものです。ま、そうも言っていられないのがアイドルヲタという生き物ですけどね。では。