半分エスパー

2週間ほど前にスカパー!e2に加入し、バイトにもいかず、試験勉強もほどほどに、TVの前に張り付いてアルペンスキーと海外サッカーを見る毎日。

結局スポーツ番組しか見ないのでスポーツ関連のパックセットに加入。ただ16日間はすべての番組が視聴できるので、フジテレビTWOで放映中の半分エスパーをバッチリ録画。第3話までは見れたけれど、来週からは映らなくなってしまう模様。残念。


さてこの「半分エスパー」、ハロプロ超新星(笑)こと真野恵里菜(通称まのえり)をメインに据えどんどんメディアに売り出して行こうと思ったら地上波じゃちょっと無理かなーCSならいいけど^^と言われ、もうしょうがないからスマイレージやら娘。やらお笑い芸人やらをとにかく画面にバンバン出していこうぜ!!という開き直りが感じられる実にCSらしい番組。一応ドラマ仕立てで真野ちゃん(役名と芸名は一致してます)はエスパーの見習いで修行中とかそういう設定もありますがストーリーはあってないようなものなので割愛。


というわけでこの番組の目的は、真野ちゃんハロメン(と芸人たち)をどう画面にだしてどうアピールするか」。そのため、ドラマ仕立てのなかでもかなり特異な構成がとられているので、いくつか指摘していきたい。


まず、番組途中で必ずスマイレージのラジオの収録シーンが挿入される。ゆうかりんこと前田憂佳、かにょんこと福田花音DAWAこと和田彩花サキチィーこと小川紗季4人のうち2人ずつの持ち回り。無理やりなストーリーの流れでなぜか真野ちゃんも必ずゲスト参加することになるので、3人でラジオ収録を行う風景が映される。

かなり唐突なラジオのシーン、これはもちろんスマイレージのアピールである。なぜラジオなのかは全く分からないが、番組中でも一応「アイドルのスマイレージ」として出演している模様。はがきに対するスマイレージ2人のフリートークはおそらくアドリブで、あやちょの拾いどころの難しいトークが炸裂したりするのだが、ゆうかりんはもちろんうまく拾えないしツッコめない。かにょんと佐吉のトークも「動物に例えると?」というお題で答えが被るというグダグダさ。
このままラジオとして流されたらおそらく目も当てられない状況を救うのが、ディレクター室にいるタイムマシーン3号の2人。芸人としては「やや受け」程度のアイドルに優しいツッコミ具合で場の空気をつなぎ、アップフロントエージェンシー所属でハロメン絡みの仕事経験を生かした立ち回りで「かにょん!俺かにょんって言いたいんだよなんか。かにょん!」など思わず含み笑いしてしまうような発言で、なんとかこのシーンを成立させている。
一方の真野ちゃんはこの場ではエスパーという設定を守り、とんちんかんな受け答えをしてスマイレージの2人が反応に困る、までがワンセットで台本。


次に目立つシーンとして、若手芸人のネタ見せコーナーがまたしても唐突に挿入されること。これまた無理やりテレポートしてきた真野ちゃんが審査員に加わり、タイムマシーン3号と共に3人でネタを審査する。

このネタ見せシーンでは若手芸人の芸名にテロップが入るなど完全にお笑い番組のテイストになっている。そして笑うに笑えないスベリ芸を1ネタやりきると、真野ちゃん「レッド(カーペット)では無理だけど、あらびき(団)ならありですね」や、ふてぶてしい顔にレオタードのドム体系芸人satomiに対していとうあさこって知ってる?」などと、テロップと共に構成作家バリの手厳しい評を下す(もちろん台本だと思われる)のがこの番組で一番の非常に笑えるポイントとなっている。言い切ったあとの笑顔の真野ちゃんと、普通にショックを受けて帰っていく芸人の素に近いリアクションがたまらない。


最後に、モーニング娘。のメンバーたちが週替わりでひとりずつドラマ内に登場する点である。第一話は真野ちゃんエスパー研の先生役として高橋愛が、第二話はコンビニバイトの先輩として道重さゆみが、第三話はバスガイドとして新垣里沙が登場している。


彼女たちの役回りはスマイレージと違って(役名は真野ちゃんと同じく本名と一致しているが)ドラマの登場人物であり、ほぼすべて台本通りの動きをしていると思われる。ここで重要なのが、彼女たちのキャラクター配置は、現実のアイドルとしての彼女たちのキャラクターに合わせて設定されている点である。高橋愛は先輩・先生として、道重は自分のことを可愛い可愛いと連呼しうざったい先輩として、ガキさんはひたすらツッコミ役として。


ここでこのドラマ(ドラマと呼ぶべきかは分からないが)での各ハロメンの戦略をまとめてみる。


まずはスマイレージスマイレージは先日メジャーデビューしたばかりであり、ハロプロ期待の若手ユニットである。先日までエッグで活動していたが、なにせメディア露出が致命的に少ないため、ハロプロファン、アイドルファンの中でも彼女たちがどのようなキャラクターなのかが浸透していない。そのため、あえて特定のキャラクター設定をドラマ内で行うことはせず、ドラマ収録のフリートークという冒険で彼女たち自身に自由にしゃべらせている。ただしそれを放置すると話は面白くないわ突っ込めないわグダグダ感でどうしようもなくなってしまうので、ディレクターとしてタイムマシーン3号を配置しメタ的な突っ込みを挟むことでどうにか映像を成立させている。


次にモーニング娘。の各メンバー。長年の経験により、彼女たちのキャラクターはこの番組を見るようなファンの間ではそれなりに認知されいる。ただし高橋愛をはじめ女優としては演技力が厳しく、バラエティでも(道重の活躍を除き)深夜枠すら失ってしまった娘。にとって、現実のキャラクターに合わせた役どころというのはなかなか見れるものだという感想を抱いた。
ただ厳しいことを言うと、高橋愛はそもそも突出したキャラクターを持たず今回もメガネでスーツの厳しい先生という無難すぎる役で登場したにもかかわらずお笑い芸人の小ネタで普通に笑って役を崩すのはいかがなものかと。
道重の回は道重の「ウザ可愛い」魅力がよく出せていたと思うが、最後に真野ちゃんのミスを庇い「良い先輩」で終わらせるよりも、徹底的にウザイ先輩だけどなんだか憎めない!という方向性の方が良かったのではないか。
第三回のガキさんに関してはひたすらツッコミに徹したのは良かったが、台本のネタ自体が「あらがきさん♪」→「にいがきですから!」のパターンに終始したのは残念だった。もっと面白く作れたはず。ただし村瀬みちゃこというアイドルパロディ芸人が登場し、ガキさん真野ちゃんという本物の王道アイドルの前で「共感の歌」という持ちネタを歌い踊る地獄絵図に真野ちゃんですら笑顔がひきつる中、歌い終わると即「共感できないですね〜これは」と言い切るガキさんのfine playがただただ光っていた。


最後にメインヒロインであるところの真野ちゃん
真野ちゃんは基本的に「サイボーグ80年代王道アイドル」「人間版ボーカロイド(今命名した)なので、どれだけエスパーがどうとかいう大根役者っぷりを発揮したとしても「真野ちゃんだからね」で笑顔で済ませられるのでそこはもう存分にやりきって欲しいのである。スマイレージのラジオのシーンでも真野ちゃんだけはアドリブは最小限にとどめ台本(設定)を崩さないでいるのはどんなに空気が凍ってもそれで正解である。
その上で挑戦的だったのは、ネタ見せコーナーの審査員。これまた完全に台本であるのだが、芸人に対して的確すぎるダメ出しを行う真野ちゃんの姿は、普段のこれでもかというアイドルっぷりからの落差が激しく笑いを禁じ得ない。また、本人のブログ等から、実は2ch狼板において真野ちゃんはハロオタたちから「根性キャラクター」であり、「怒るとと怖い」「マネージャーに説教キャラクター」という読み込まれ方をしている。審査員としてダメ出しを連発する真野ちゃんはまさにこのオタクが求める「裏の顔」を体現しており、そういう面からも今後の真野ちゃんのプロデュース方向が気になるところである。


さてこのドラマに対する2ch狼の反応はというと、予想通り「つまんね」「ガキさんもっと出せ」「両角ふざけんな*1」といった否定的な意見に終始している。はっきり言って確かにこの番組はつまらないのではあるが、CSでの放送、低予算の中、落ち目のハロプロを使ってもらえるだけでもありがたいのではないだろうか。まぁしかし真野ちゃんを多く見せたいのはわかるが、設定・脚本がどうしようもないのはどうにかして欲しいところである。

ただ「キャラクターをどう見せるか」という点で、娘。や真野ちゃんの使い方には好感が持てる。現状でしっかりとしたドラマに出演できる演技力を持ったメンバーは皆無であるし、バラエティに出るとなると、道重あるいはAKBメンのように芸人化し自らのキャラクターを切り売りするような厳しい道が待ち受けている。それに対し、いまあるキャラクターをドラマの中にそのまま持ち込む方法であれば「お約束」の安心感もあるし、真野ちゃんの審査員のような「作られた裏の顔」を見せるというやり方も安全にとることができ、現状のハロプロに最適な番組作りではないだろうか。


以上、ハロプロにおける、テレビメディアでのアイドルキャラクター露出についてでした。

*1:ハロプロ系番組に多く携わってきたプロデューサーの両角氏。個人的に両角氏には興味がないが、彼はどうやっても叩かれる傾向にある。かつてはネットラジオハロプロの裏事情を暴露していたが、本当にやめて欲しい。今はニコ生で放送をおこなっているとか?