音楽と著作権 その1

昨日のエントリでid:gaku_nから音楽の知的財産権の新たなシステムについてコメントを貰ったので考えてみた。

音楽が無限にコピーされてしまう時代に、あり得べき制度はなにか?ということについて考えたことがあるお

?音楽の利用頻度に関わらず、音楽を利用可能な者全員から一元的にお金を集める
?ユーザーの再生数のデータを細かく収集し
?再生数に比例して権利者にお金を分配する

これならいくら利用してもユーザーは新たにお金を払う必要がないので、ユーザーがログを送信することを妨げるものはない(むしろ、自分が好きなアーティストを応援しようと、積極的にログを送信する)から、違法コピーは一掃できるのではないか
そしてクリエイターにもお金がちゃんと入ってくる
みんなハッピー

まず一番目に付く突っ込みどころは利用可能の者全員から一元的にお金を集めるというところで、「音楽聞かないのにカネ払いたくねーよ」という反論が真っ先に浮かぶが、これとよく似た構図はNHKの受信料問題に見て取れる。
さらにもう少し構造をよく見てみると、現在の着うた・着メロ配信の仕組みにも共通点が見受けられる。ただこの場合は再生数に比例して権利者に利益を分配するのではなく、配信数に比例して分配されている。tsutayaのようなレンタルサービスは貸出数をデータ管理して貸出数に比例してJASRACからアーティストに利益分配されているはずだし、テレビ局でも近年になって使用楽曲の全曲報告が実施されているようであり、このシステムが一番近いモデルであろうか。


そこでこのシステムで一番注目すべき点は「再生数に比例して権利者にお金を分配する」という点ではないだろうか。すべての音楽再生機器に再生ログ記録・送信機能を付加することは技術的に近い将来可能になるだろう。これならいくら音楽データをコピーしようが問題はない。「ユーザーがデータ(作品)を『手に入れる』ことに対して対価を払う」という原則を崩している点で非常に興味深い。

音楽というジャンルに限って言えば、著作権の意義は「新たな創作活動へのinsentiveを確保する」という意味合いは薄く、(メロディが非常に非通っている場合を除き、コード進行等はパクリ放題だったりする)、作品への対価を確保するという意義がかなり強いと思われるので、「製作者に利益が支払われること」が最重要課題である。これが満たせるのなら、現在のようにユーザーと権利者の間で一対一の課金関係(もちろん様々なものを媒介するが)を結ばなくても良いシステムが探せるのではないか。


ただやはり再生数に比例した課金は心理的に大きな抵抗がある。「データを手に入れる」でも「データを再生する」でもない点に課金のタイミングを見つけられるだろうか。


いつの日かにつづく