クリエイティブ・コモンズ

クリエイティブ・コモンズ―デジタル時代の知的財産権

クリエイティブ・コモンズ―デジタル時代の知的財産権

レッシグ第一弾。地元の図書館で一冊だけすぐに手に入っただけで、とりたててこの本が一番読みたかったわけではない。
題名が示す通り、クリエイティブ・コモンズの基礎的な紹介と、著作権法の基礎理論などをまとめた一冊。が、レッシグ本人が関わっているのは第一章の2003年に行われたフォーラムの講演録だけであり、あとの部分は日本人の弁護士や大学院教授により執筆されていた。まぁレッシグの主張を理解するためには『CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー』あるいは『CODE VERSION2.0』を読まないとダメだろうが、勉強のために読むことにした。



というか僕はそもそもクリエイティブ・コモンズという団体の存在や、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスなるものをこの本を読むまでまったくもって知らなかったわけなのですが。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスというのは、ざっくりいうと、なんらかの作品を創作したばあい現在の著作権法では自動的にすべての権利が作成者に帰属するのだけれど、それじゃ作品の共有とか2次利用とかめんどくさいから作成者がどの程度作品に対して権利を留保するのか(逆に言えば共有・2次使用等を認めるのか)という事に関しての、主に4つの観点からなる統一的なフォーマットのこと。
表示(Attribution) その作品の利用に関しての著作者の表示を求めるか
非営利(Noncommercial) 非営利目的に限ってその作品の利用を認めるか
改変禁止(改変の禁止。No Derivative Works) その作品の利用をそのままの形でのみ認めるか
継承(同様に共有。Share Alike) その作品につけられたライセンスを継承することを求めるか

の項目についてそれぞれ選択することができる。
ライセンスの解説・マークの説明等はこちら→http://www.hyuki.com/trans/cc-licenses.html


でもこれ日本じゃ全然広まってないよね。たぶん。海外ではどうなのか知らないけど。
ニコニコ動画MAD作品が盛り上がってて、カオティックにN次的に改変・発散しているけれど、大体のMAD作品って企業が完全に著作権保有している(改変・二次使用を認めていない)映像・曲が土台だもんね。
個人製作でまったくのオリジナル作品がクリエイティブ・コモンズ・ライセンスによって拡散している例なんてあるのか?
初音ミクはどうだ?しかしそもそものミクの「音声」に関する権利は初音ミクの発売元が保有しているはずだから無理か。
初音ミクでオリジナル曲を作って、ミク以外が歌って演奏すればおkな気がする。
→と思って調べてみたら2007年にドワンゴによる初音ミクオリジナル曲の配信を期に微妙に議論が盛り上がっていたことが判明。ミクに興味がなさすぎて全く知らなかった。
クリエイティブ・コモンズ初音ミクについての記事→http://tuchinoko.moe-nifty.com/oboegaki/2007/12/no_cc_no_miku.html


正直クリエイティブ・コモンズが普及することは厳しいように思える。クリエイティブ・コモンズは現在の著作権制度の枠組みの中で動くことを前提とした方法論なので、権利保有者が自主的に権利を手放すことを期待しているが、この点に一番の問題点がある。もちろん同書の中でも指摘されていることだが。端的に言ってクリエイティブ・コモンズを利用してもお金を生まないのである。だめだめである。
やはり著作権制度を根本的に構築し直さないと。その方法は考え中(全然わかんね)。